罪の意識を感じるA

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――
私「しっかし、祟りとはねぇ…」

古乃羽のお婆さんと話をした後、私たちは再び外出。
目的地は――杵島の家の近くにあるという、一乃守。
お婆さんに場所を教えてもらい、2人で行ってみることにしたのだ。

古乃羽「ちょっと穏やかじゃないよね」
私「ほーんと」

祟り云々と言われたのに、何で行くの?
と思うかも知れないが、言われたからこそ、というのもある。

…別に、自ら危険に飛び込もうという訳ではない。
お婆さんの話では、祟りと言ったものの、今まで特に何かが起こったことはないそうだ。
お婆さん自身もあれこれ調べたらしいし、地元の子供なんかも平気で近付いているとのこと。
「古くなって危ないから、そんな風に言ったのじゃないか」というのが、お婆さんの見解だけど…

私「確かに古いけど、それで危ないことなんかないよねぇ」
ある日突然崩れたとしても、近くに居たらちょっと擦り傷ができるかなくらいのものだ。

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そもそも本当に危ないもの――祟りが起きるようなものなら、それこそ放置しておくのもどうかと思う。
山奥にひっそりと佇んでいるという訳ではなく、簡単に目に留まるような場所にあるお社。
何も知らない人が近付く可能性は高いだろうし、好奇心旺盛な子供なら尚更だ。

結局どうにも釈然としなかったので、私たちはもう少し調べてみようと思い、一番近い一乃守に行くことにしたのだった。
そして何かあるにしろ無いにしろ、ここから帰ったらいつものメンツ――雨月君や北上に話してみようかとも思っている。
…勿論、何かあった場合には舞さんにも。

私「あ、あった」

杵島の家の裏手にある、竹林に沿った細い通り。
その道を少し歩いていった所に一乃守はあった。

古乃羽「二乃守と同じだね」
私「うん」
竹林を切り分けて、道に面して佇むお社。
土台を含めた外観も、その傷み方も、二乃守とまったく同じだ。

私「中も同じかな…?」
一乃守と同様、やはり銅鏡が置いてあるのかなと思い、お社に近付く。
と――

古乃羽「美加」
私「ん?」

不意に古乃羽に呼び止められる。

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私「何か、危ない?」

二乃守では既に近付いて調べているものの、やっぱり気になるのかな?

古乃羽「そういう訳じゃないけど、何か…」
私「何か変だったら、止めとくよ」
古乃羽「…」

何か感じるところがあるみたいだ。
近付くのはちょっと止めておこうかな?

古乃羽「危ないって感じじゃないのだけど…」
私「何か引っ掛かった?」
古乃羽「うん…何でだろう。二乃守は何ともなかったのに」

得体の知れない感覚なのだろう、不安そうな顔をする古乃羽。

私「まぁ、場所によって違いはあるんじゃない?」
勿論そんなことは分からないけど、思ったことを言ってみる。

古乃羽「そうね…。お婆ちゃんは何も無かったみたいなのになぁ」
私「お婆さん?」
古乃羽「あ、うん。あのね、杵島の家って――」

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私「――へぇー」

一乃守を前にして、古乃羽から杵島家の話を聞く。
杵島家の女性に関する…”伝わる”って言ったほうがいいのかな?霊感の話を。

私「古乃羽のそれは、血筋だったのね」
古乃羽「そうみたい。私もずっと知らなかったの」

突然降って湧いたモノ、というものではない訳だ。
元々素質はあって、きっと何かのきっかけで…えーっと、確かあの頃だから…雨月君の影響かな?

私「あぁ、そっか。だから、お婆さんも霊感あるのに、このお社からは何も感じなかった訳で…」
古乃羽「うん」
なるほどなるほど。
古乃羽「油断していたから、びっくりしちゃった」
私「ふふふ、油断大敵ネ」

…古乃羽、変わったな、と思う。
昔の古乃羽だったら、きっとそうは思わなかっただろう。
「お婆ちゃんに見えなかったものが、自分に見えるわけが無い」と、そんな風に考えていただろうなと思う。

自分に自信が持てないでいた古乃羽。
すっかり成長しちゃって、と、ちょっと眩しく思う。

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私「…んで、どんな感じなの?」
危ない訳ではないと言っていたけど、ではどういう事なのだろう。

古乃羽「うーん…」
ちょっと困ったような顔をする古乃羽。

昔から、古乃羽の困り顔は可愛いなと思っている。
実は密かに真似てみようとしたけれど、私には無理だったという悲しい過去があったり…何てことは、ともかく。

私「複雑そう?」
古乃羽「そうじゃないのだけど、意味が分からなくて」
私「意味とな」

古乃羽「うん。何て言うか…悪いことをしたみたいな、罪悪感があるの」

私「ザイアクカン?」
何だか意外なものが出てきた。

古乃羽「うん。変でしょ?」
私「…」

町の全ての入口にあるお社。
昔は町――当時は村かな?を、守っていたもの。
でも今は近付くと祟られると言われ、放置され…そこからは罪悪感が伝わってくる。

うーん、サッパリだ。

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適当な話ならいくらでも考えられるけど、分からないことだらけで何ともだ。
例えば…このお社はいつ作られたのか。何年前のものなのか。

古乃羽のお婆さんが小さい頃からあったということは、少なくとも50年以上前だろうけど…
このお社が作られて放置されるようになって、この有様になるまで。
その期間がどれくらいなのか想像も出来ない。
記念碑みたいに、どこかに施工した年とか書いて…

私「…あったりして」

古乃羽「ん?」
私「近付いても危なくはない、よね?」
古乃羽「うん」
ヨシヨシと思いながらお社に近付き、その土台の石を調べてみる。
書いてあるとしたらこの辺りだろう。

古乃羽「何か探しているの?」
私「うーん、ほら、施工年とか書いて無いかなぁって…」
古乃羽「あぁ…、あるかな?」
と言いながら、古乃羽も一緒に探してくれる。

土台の裏側を調べるには竹林に入らないといけないので、取りあえず表側と側面の見えるところだけを探してみる。
すると――

私「あった…」
腰を落として土台の側面、下段を見てみると、意外なことに施工年らしきものが刻まれていた。

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私「えーっと、17…85…?うわ、古っ…」
まさか本当に見つかるとは思っていなかったけど、それよりも予想以上の古さに驚く。

古乃羽「歴史がある、って言いなさいよ」
私「えへへ…そうね」
でも古いものは古いもん。

古乃羽「1785年だと、江戸時代ね」
私「そうなんだ。天明って書いてあったよ」
よいしょと立ち上がりながら古乃羽に言う。

私「何かあった年だったりして」
古乃羽「さぁ…帰って調べてみようか?」
私「だね――」

声「教えてあげましょうか?」

突然背後から聞こえた声に、え?と思いながら2人で振り向く。

するとそこには――

――舞さん?

…いや、違う。

似ているけど違う、1人の女の人が立っていた。
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